山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

感想・創作その他

『アナと雪の女王』

退職後一日目です。 午後に池袋で映画『アナと雪の女王』(原題:Frozen)を観て、「瞠」のラーメンを食べ、カラオケに行って、15キロほどウォーキングしてから帰宅。完全に休日モード。体がなまっているのでそろそろ運動も再開しようかと。 世界的にヒッ…

四天宝寺戦凱旋公演

テニスの王子様ミュージカル、四天宝寺戦凱旋公演を見てきました。わかっちゃいるけど石田・河村戦の「非テニス」感はすごい。演技も大変よかった。あとスーパールーキー対決の演出が面白かったです。ワイヤーアクションにはまだまだ広がりがある。キンタロ…

不思議じゃない

『ヒューゴの不思議な発明』を観てきた。3Dは『トイストーリー3』ぶり。いやー、やはり技術は刻一刻と進化してるんだな。ものすごい3Dだった。埃から光から質感までどこまでも手が入れられていて、テレビゲームの中に入り込んだようだった。ダーククロ…

メモ

最近見たもの各種。再読・再見一部含 ●映画『ロミオ』:悩んで解放されて大地を駆ける話『百合子、ダスヴィダーニャ』:お嬢様同士の大変な恋愛DVD『恋愛小説家』:ジャック・ニコルソンと犬のかわいらしさに萌える話DVD『アメリ』:カラフルセックスカ…

「人生はなんて素晴らしいんだ」

シネマヴェーラで、グリフィスの「素晴らしい哉人生」を見る。黒澤明の「素晴らしき日曜日」の元ネタになったことで有名な作品。キャプラの「素晴らしき哉! 人生」(私が今まで30回くらい見て30回とも泣いてる映画)と名前が似すぎていて、今まで同じも…

河瀬直美「玄牝」――膣磨きの陶酔

まさしく膣だ――しっとりと暗い“古屋”の中から、光さんざめく戸外を映したカットを観る度に、私はそう思った。二十三年前、私もこの陰りから、祝福の光のもとへと走ったのだろうか。外に出た瞬間の号泣も、母の喜びも、もはやすっかり忘却の彼方だが、今にも…

創作:光の記憶

大学生のときに書いた、5〜10分で終わるイメージの映像シナリオ。 おそらく2009年か2010年。 __________ S1 建物の屋上 青空の下、白い服を着た男女が、背中合わせで立っている。男モノローグ「僕達は白い鳥」女モノローグ「私達は白い蛇」男モノローグ「…

とある映画好きの先生に出した手紙

大学3年か4年のときに書いた文章。 _______ 貧乏なのに**のような学費の高い大学に入ってしまったせいで、私は毎月バイトバイトバイト三昧です。生きのびるって大変です。確実に辛いことの方が多い。仕方がないことですね。まあそんなに悲壮な気分ではない…

「REDLINE」――ゴーカートの愉悦

こういうのを待っていた! 開始から二分、顔がにやつくのを止められなかった。太い輪郭線に黒々とした陰影、大胆かつポップすぎない色使い。エンジンの轟音を唯一のビートに、どこまでも伸縮自在に歪み、疾走し、弾けとび、爆発する色彩と描線のカーニバル。…

パエトン

夏の日差しに後悔ばかりしていると目の前にパエトンが落ちてくる アスファルト熱い、熱いね 私も 何度でも落ちてくる彼のこっちを見るただれた目玉地面をかく焦げた指 言うこと聞かなかったから 熱いね あーあ ため息がじゅうじゅう 吸い込まれる熱い道パエ…

スープ

お前と歩いているせいでここが町の谷底になりましたお前が喋り散らしているせいで吐いた息が溜まっていきましたにごった空気は重いのだ おおい 誰か 上からかき混ぜてくれないか 木のスプーンなら舐めた時に気持ちがいい

映画「恐怖」

六、七歳の頃だが、「なんで今この瞬間、私はここに存在しているといえるのか」などという小賢しい疑問にとりつかれたことがあった。幼心に、その疑問に終着点がないことを感じ、これ以上「先」へ進むと頭がおかしくなるかもしれない、という予感に襲われた…

「借りぐらしのアリエッティ」――不在の心臓

この映画で描かれる「小人族」の生活には、奇妙に浮ついた印象を抱いた。彼らは、人間の食べ物や小物を「借り」て生活している。その行為は我々の価値観に照らし合わせれば「盗み」なのだが、彼らは、そこに特に思うところはないらしい。アリエッティが、翔…

骨壷

S1 みちるの家(夜) ワンルームマンション。床の上に、三つの箱が置いてある。 みちる、ソファにひっくり返って電話をしている。みちる「え? 大丈夫別に怖くなんかないよ。死体じゃあるまいし。ただの骨だもの。ん? えーと、パパと、パパのお姉さんと、…

一本目

S1 武道場 大勢の剣道部員が打ちあっている。一際激しく戦っている大崎と池田。 つばぜり合い。池田が大崎を突き飛ばす。転がる大崎。大崎、床を小手で殴り、勢いよく起き上がると、池田に突進。二人、再び強くぶつかり、面金越しににらみ合う。斉藤「やめ…

ミュージカル・テニスの王子様「The Final Match 立海 Second feat. The Rivals」

『ミュージカル・テニスの王子様』は、マンガ『テニスの王子様』の舞台化作品で通称を「テニミュ」という。これまで生観劇の機会に恵まれなかったのだが、先日の名古屋公演でようやく劇場に足を運ぶことができた。公演名は「The Final Match 立海 Second fea…

短歌

手の甲の青き血筋が示す道空の果てでは人が争う

「かかとのない人、アサッテの人と出会う」

多和田葉子と諏訪哲史の講演会「かかとのない人、アサッテの人と出会う」を見る。この対談は群像に掲載されるらしいけど、まあ私は私で内容をまとめておこうと思う。 多和田葉子は、ドイツに住み、ドイツ語でもたくさんの作品を発表している日本人作家。先に…

宝塚月組公演「エリザベート」

東京宝塚劇場にて、宝塚月組公演「エリザベート」を観劇した。 「エリザベート」は、1992年にウィーンで初上演されたミュージカルで、宝塚化されたのは1996年。宝塚歌劇団の演出家小池修一郎が演出を手がけ、雪組にて上演された。「孤独なオーストリ…

青い鳥症候群

○ タイトル『青い鳥症候群』――今の自分は本当の自分ではないと信じ、いつまでも夢を追い続ける人、例えば、理想の職を求めて定職につかず転職を繰り返す人のこと。―― ○S1 有限会社Oiseau Blue 面接室 机についている小島と森田、青い鳥。 小島、…

青い鳥

夜の御殿。中央に黒い大理石の台座。 中央に立つ青い鳥にスポットライト。 青い鳥「いつの頃からだろう。身を隠す必要がなくなってしまったのは。むなしいものだ。かつてはあんなに、世界中の人間が、こぞって僕のことを探していたのに。そう、小さな兄妹ま…

孤花

架空の日記を書こうとしたらしい。(2022/12/07) _____________ 盛者必衰理。 ブログ開設。内田百聞の日記の冒頭を真似して書いてみた。孤花(こか?)という花が実際にあるのか、内田百聞の造語なのかは知らないが、孤独な花だなんて、なんとなく趣があっ…

禁じられた遊び

「お兄ちゃんはギターが上手いのよ」 真っ赤な唇で、うっとりとクスコさんは言った。私はただふうんと答えた。「私が部屋に入るといつも弾いてるの。タオルを首にかけて、壁のほうを向いて」 クスコさんは、いつでも真剣に語る。私は、自分が”たった”4歳で…

荻田浩一のこと

いつかは溶けて消えるように 誰もが君を忘れてゆく バウ・ミュージカル、『凍てついた明日―ボニー&クライド―』のメインテーマ曲、「ブルース・レクイエム」の一節である。 荻田浩一の演出する世界は、いつも悲しい。彼が描くのは、誰かに忘れられること、何…

三島由紀夫『橋づくし』

「橋づくし」は、昭和三十一年「文芸春秋」に掲載された、三島由紀夫の短編小説である。 新橋料亭の娘満佐子(二十二歳)は、同い年の友人のかな子、四十二歳の芸者小弓、そして東北出身の女中のみなと一緒に、陰暦八月十五日夜、願掛けに出かける。深夜、一…

短歌

青春はフラミンゴの羽ひきむしる焼けた手のひら氷のとがる歯

ディモンの微笑み

「人類の敵 ミッチイをたたっ殺せっ!」「そうだそうだ!」 病院の前でわめく人間達に、博士がスピーカーを通して呼びかける。「全市のみなさんご安心ください ミッチイは病院でまもなく死にます 町はふたたび平和になるでしょう」 『メトロポリス』で描かれ…

そしてまた、どこかの劇場で

商店街の活気がちょうど途切れる辺りに、七ツ寺共同スタジオはある。狭い道に面し、民家に囲まれたその建物は一見、うら寂しい二階建ての倉庫にしか見えない。みゆきが聞いた話では、ここはもともと実際に倉庫だったのだそうだ。二階の窓には、黄ばんだ紙の…

コロブチカ

四角いブロックは、天井からとめどなくこぼれ落ち続ける。楽しいのは、それを流し込む隙間をキープし続けることだ。ブロックを消すことじゃない。消しすぎると不安になる。積み上げたくなる。隙間を作り続けたい、そう思う。私の体と同じような隙間があるこ…

ムーンリバーの難民たち

「私たちは大切なお客様を決して『難民』とは呼びません」 そんな標語が壁に貼ってある。日本複合カフェ協会の声明文だ。当然おれには関係ない。難民と呼ばれようが呼ばれまいが、おれの日給は一円も上がらないし下がりもしないのだ。 一日一回、ここに来る…