山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

パエトン

夏の日差しに後悔ばかりしていると目の前にパエトンが落ちてくる アスファルト熱い、熱いね 私も 何度でも落ちてくる彼のこっちを見るただれた目玉地面をかく焦げた指 言うこと聞かなかったから 熱いね あーあ ため息がじゅうじゅう 吸い込まれる熱い道パエ…

スープ

お前と歩いているせいでここが町の谷底になりましたお前が喋り散らしているせいで吐いた息が溜まっていきましたにごった空気は重いのだ おおい 誰か 上からかき混ぜてくれないか 木のスプーンなら舐めた時に気持ちがいい

「借りぐらしのアリエッティ」――不在の心臓

この映画で描かれる「小人族」の生活には、奇妙に浮ついた印象を抱いた。彼らは、人間の食べ物や小物を「借り」て生活している。その行為は我々の価値観に照らし合わせれば「盗み」なのだが、彼らは、そこに特に思うところはないらしい。アリエッティが、翔…

映画「恐怖」

六、七歳の頃だが、「なんで今この瞬間、私はここに存在しているといえるのか」などという小賢しい疑問にとりつかれたことがあった。幼心に、その疑問に終着点がないことを感じ、これ以上「先」へ進むと頭がおかしくなるかもしれない、という予感に襲われた…