山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

女子アナ文化

で、また移動して今日は広島県にいる。広島に来たのは実は初めて。広島県のどこかはちょっと伏せさせて頂くが、小さな城があるところである。

駅をショッピングモールが取り囲み、駅の近くに百貨店がどんと建っている。パチンコ屋とゲーム屋がたくさん。名古屋の隅っこの方と同じ、典型的な地方都市だ。全体的に寂れているのは気になるが、東京から来た身としては、ひと気の少なさにホッとする。

朝食はホテルで食べた。クロワッサン、スクランブルエッグ、ソーセージ、まずいキャベツのサラダ。まあこんなものだろう。

食べながらオリンピックのニュースやバラエティ番組を観る。地方の女子アナがかき集められている番組を観た。静岡のアナウンサーの女の子というのが私の苦手なタイプだった。正確に言うと、彼女をとりまく外部の雰囲気が苦手というか……。彼女は、カメラに向かって食べ物を箸で掲げると、その手が緊張でぶるぶる震えるという特性の持ち主なのである。それをスタジオのタレントたちもいじって喜ぶわけだが、なんだかその全てが不気味だった。彼女自身は可愛いし、それを利用してのし上がっていけるなら別にいいのだが。

私はそもそも、「女子アナ」という文化が苦手なのだ。あれは「女マネ」カルチャーと同じで、「女はいたいけで可憐なサポート役」というロールプレイに対する許容あるいは戦略が相当必要とされる文化圏である。「若くて美しく賢いが、その知性は男性の脅威にはならないレベルなので視聴者は安心する。また、モデルやタレントほどチャラい商売でもないので、男性にとっての良質のジュエリーにもなり得る」というあの雰囲気にゾッとするのだ。もちろんそうでない女性アナウンサーがいるのも知っているが、彼女たちは「女子アナ」ではないようにも思う。いっときだがテレビの仕事をしていたせいで、芸能界のあの強烈なジェンダー意識には疲れる。

昼から午後は用事のために動きまわり、夜は地元の居酒屋ですませた。田舎の小さな街によくあるタイプの、ちょっとだらっとした居酒屋で、客層は基本的にヤンキー。金髪の、私くらいの年齢の女性二人が「でもさぁ、そこで決定的に何があったかが知りたいよね。ヤッたのかヤッてないのか」「そうそう! そうなんだって! ぎゃはは!」と騒いでいた。

広島では、瀬戸内海の幸が食べられる。鯛のおつくり、鯛のあら煮、鯛の子どもと小イワシイカの天ぷらなんかを次々食べた。魚の味が濃くて美味い。そして、黙々と食べている間に学生の団体が押し寄せてきて、店はあっという間に地獄のようなうるささに。しかしのどかな感じで悪くなかった。

友人から、「広島に行くなら、牡蠣醤油とレモスコを買ってきてくれ」と頼まれる。レモスコというのは初めて知った。こういうものらしい。

夜、寝る前に駅から近い図書館の場所を調べる。地方に行く度に、そこのスーパーと図書館の様子を調べずにおれない。去年は滋賀、兵庫、香川、徳島と滞在の機会があったが、毎回図書館には行った。なんとなくその土地の雰囲気がつかめる気がするのだ。

明日の自由時間は、図書館で仕事をすることにする。というか全体的に仕事のスケジュールがやばい。