山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

派遣について

 二日酔い気味で一日中家で本を読む。
 昨日は渋谷の方まで派遣の登録に行った。
 
 そういえば、上京のきっかけの一つになったのは、名古屋の派遣会社のコーディネーターの言葉だった。
 私はもともと、その会社からの紹介派遣で、名古屋の一般企業の広報部に就職が決まっていたのである。だが「是非入社してください」という言葉をもらった面接の帰り道で、コーディネーターの女性に
「あなたは東京に行った方がいいんじゃないですか。小池さんならできますよ」
 と言われたのである。その女性も、元々東京でやはりライターをしていたのだという。
 家に帰った後、やっぱりそうかもなと思った。そしてその日のうちに東京のいくつかの会社にエントリーシートを送った。どれもすぐに面接ということになり、派遣会社には断りの電話を入れた。「やっぱり東京に行くことにしたんですか?」と聞かれてそうだと答えた。
 彼女はおそらく、私のような労働的尻軽人間を、地方の実直な企業に紹介するのは会社に対して悪いと思ったのだろう。そういう人間を寄越してくる派遣会社だと思われたらコーディネーターだって迷惑する。
 それでもぼんくらなコーディネーターだったら、面接が通った以上それ以上口は出さなかったはずだ。会社の方は「明日からでも来てくれ」と言っていたのだから。あのコーディネーター氏が、私の気質や願望に注意を払っていなかったら、私はあの時点では上京という決意を固めなかっただろうし、半年後には会社がまた私の後釜を探すはめになっただろう。彼女は多分、ちゃんと紹介先のことを考える人だったのだ。

 派遣会社の帰り、地元のバーで飲む。
 隣り合ったおじさんと話が盛り上がり、Old Parrをおごってもらったのでお礼に『百合のリアル』をプレゼントした。もう自費で3冊ほど買っては人にあげている。営業熱心だなあ、と自画自賛してみたり。