山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

剣道

剣道の良さの一つとして、「相手の目を見る」ことがあげられると思います。
少しでも剣道をやったことのある人ならわかるでしょうが、剣道は、相手の目を見なければできません。
まあ、鼻の辺りとか口の辺りを見ていてもどうってことはありませんが、やっぱり、
ハッタと相手を睨みすえなければ、真に気迫のこもった打ちはできないと思います。

この、「目を見る」ということ、意外に日常でも役立つ。
人と目を合わせるというのは結構恥ずかしいもんです。特に初対面の人とか。
同年代の子と話をしていると、皆あまりしっかりお互いの目を見て会話しません。
勿論、ずーっと目を合わせているのは気持ち悪いですが。

剣道を始めてから、しっかり相手と向き合って対話をすることができるようになった気がします。
相手の心と向き合う練習を、剣道の中で行う事ができたからだ、と私は思っています。
私は剣道で、人と目を合わせ、そこから体全体の気を感じ、その人の精神を読む、ということを知りました。
それが、剣道の稽古においてのみならず、普段の生活の中でも大切なことだとわかったのは、結構最近、高校の剣道部に入部してからです。

部活をやっていると、結構ややこしいこと色々起きるんですよね。
誰でもトラブルの一つや二つ、経験すると思います。私は、中学の時部活をやっていなかったため、周りの子が「部活は大変だよ」と言っていても、「ま、大したことないだろう」と甘く見ていました。

ところがどっこい、身もすり切れる様な苦悩がやってくるやってくる。
私の場合、同学年の女子が他にいなかったことがそれら全ての原因であって、
はっきり言ってどうしようもないことばかりでした。部長にも半強制的にならされたし、男子の部長とも、剣道に対する考え方が違いすぎていつもイザコザを起こしていました。
大泣きしたことも何回かあって、その度、辞めたい辞めたいと思ったもんです。

その、「男子部長とのイザコザ」というのが一番精神的にきつかったのですが、稽古をする以上、彼とも目を合わせなければならない。
口も聞きたくないような相手と、しっかり見詰め合わなければならない苦痛、これは経験しなきゃわかりませんとにかくものすごく気まずい。
言い合いをするよりも苦痛です。だって、邪念だらけだとろくな打ちができないんだから、無表情で見詰め合うしかありません。まったく、最初はこれがものっすごく嫌でした。

でも。今思うと(部活は現在進行形でやっているけど)、だからこそ乗り越えてこれたのかな、と。
剣道を通じ、少しの間だけでもお互いの気を合わせることで、一種の絆を生み出すことに成功していた気がします。
目をしっかり合わせることで、わずかでも、心は確かに通い合う。
その感覚が、人間関係のイザコザにおいても、「逃げてはいけない」と思わせてくれました。
散々喧嘩しても、毎回なんとかなったのは、そういう意識があったからだと私は考えています。

もっと皆にも剣道とか空手とか、やってほしいな。こういうことが学べるから武道は尊い
学校の授業でも多少はやりますが、精神面での糧は、やはり得難いですから。