山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

鍛錬

古武術の道場に行き、小太刀を少々やる。

小太刀というのは、普通の日本刀より少し短い刀のこと。普通の太刀が100cmなのに対し、小太刀は60cmくらい。片手で扱う刀なので、柄も太刀より小さめ。多分、私と同じオタクの方々には「四乃森蒼紫が使ってる剣」と言えばわかるでしょう。私も、小太刀の存在をを知ったきっかけはるろ剣だった気がする。今回体験稽古に行った道場では通常とは少し違った小太刀を使っているので、上のデータの限りではないのですが。今検索してみて、「小太刀」でググるとトップに小太刀右京先生のウィキペディア記事が出てくることを初めて知りました。知名度としては小太刀より右京先生の方が上ということか。

稽古に参加させてもらって、自分がいかに精神的に弱くなったかということがよくわかりました。大刀と違って間合いがものすごく小さいので、決死の覚悟で相手の懐へ飛び込む勇気が必要なんだけれども、入り込む瞬間に必ずひるんでしまう。もちろん竹刀剣道に勇気がいらないわけじゃないし、竹刀であっても一太刀一殺の気迫で挑まなければ意味がないのだが、それでもやっぱり、40cmのリーチ差というのはでかい。
体力的に衰え、おまけに竹刀剣道で凝り固まった体はなかなか先生の指示通りに動いてくれなくて凹みまくりの2時間。稽古後は、武道具屋へ行って店主氏と師範のおしゃべりを聞く。棒手裏剣術の先生も同席。

私と武道の話。
12歳から18歳までの6年間は、小説書くことの次に武道が生きがいでした。町道場で剣道をやっていて、二段をとったのが17歳の時。同じ先生から、空手と合気道を使った護身術も習っていました。朝はよく早起きして素振り200本などやってたし、毎晩の筋トレも欠かさず、図書館なんかを駆使して「月刊剣道」「剣道日本」「秘伝」やらその他武道雑誌まで読んでニヤニヤ、栄花選手に憧れ、かの名作『六三四の剣』をバイブルにひたすら稽古に励んでいたものです。
病弱なデブからのスタートだったから段位取得も遅かったし、特に強い方でもなかったのですが、それでも剣道の理念に触れ、竹刀を振り、強くなっていく実感を得るのがとにかく楽しかった。喘息もアトピーも剣道を始めてから格段に良くなったし、精神的にも良い影響がたくさんあった。18歳の時道場の先生が亡くなって、私も進学資金を貯めるために働き始めてしまったので、一旦武道からは離れてしまったんだけれども。
たまに思い出しては素振りをしていたけど、竹刀ダコはあっという間に消え、固く引き締まっていた二の腕もたるみ、握力も40キロくらいあったのが30キロ前後に落ちて既に久しい。自分の体がなまっていくのを実感する瞬間には恐ろしいものがあります。

刀鍛冶で使う「鍛練」という言葉は、鉄を叩いて不純物を取り除いていく、その過程のことを指します。
25にもなると不純物だらけ。いつまでも新鮮な気持ちで物事に取り組めるように、身心共に叩いていかないと。