山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

ラオスの風

高校時代の友人Mと、10年ぶりに会った。高校卒業以来まったく会っておらず、FBでだけ交流があった友人だ。彼はとあるアパレルメーカーで品質管理の仕事をしている。そして、その仕事のために普段はなんとラオスにいる。ラオスがどんなところなのか、私にはまったく想像ができない。

高校時代のMは、色白でおとなしい、すごく性格の良い男の子だった。繊細で、仲のいい友達と喧嘩になりかけた時なんか、よく私に「どうしたらいいんだろう」とメールを送ってきていたものだった。そして十年ぶりに会った彼は、かなり精悍になってはいたけど、でも全然変わっていなかった。変わらないね、と言ったら「そっちは綺麗になったね」と返されて嬉しかった。

ラオスの話をいろいろと聞いた。ラオス社会主義国だし、まだまだ完全に途上国なので、基本的に「なんにもない」らしい。何もないというのは、国産のモノがないということであり、エンターテインメントがないということである。物価はめちゃくちゃ高く、庶民はタイから流れてくるパチモンの服を買い、タイのテレビ番組を見ては華やかな芸能界に憧れを抱くらしい。

「他国の会社が、ラオスの農村を舞台にした映画を撮ったことがあったけど、そういうのは全然ウケないね。タイのドラマの定番はね、芸能人のイケメンとPR会社の女の子のラブストーリーとか、超セレブと平民が付き合うとかそういう話なの。華やかな、ハイクラスの世界が見られるものにみんな憧れてる。
タイの華やかさはすごいよ。とにかく向こうでは美しい人が強い。そしてめちゃくちゃ派手。女の人はドレスみたいな格好で街を歩くし、ものすごくたくさんの人が芸能界に憧れてる。その影響もあって、ラオスもかなり外見至上主義だよ。俺、なめられないように筋トレしてるもん」

ラオスの話も面白かったし、ブランドの話も面白かった。「女性は何かひとつでいいからシャネルのものを持った方がいい」と言われた。

「ブランドにはそれぞれの哲学があるでしょ。それを身につけるってことが、服を着たり化粧品をつけたりすることの意味なんだよ。シャネルは、自立したシックな女性のためのブランド。トイレで化粧直しするときもさ、シャネルの口紅だったら恥ずかしくないし、なんか嬉しくなったりするでしょ。俺は女の子に何かプレゼントするときは大体シャネルをあげてるんだ。小池はダナ・キャランなんかもいいと思う。あれも働く女のためのブランドだもんね」

あのおとなしかったMから、こんなアドバイスをされる日が来るとは、なんだか感慨深かった。そして、聞いているうちにどんどんシャネルが欲しくなっていった……。今はディオールの口紅を使っているのだが、それを言ったら「ディオールはデザイナーが変わってから全然駄目だ、もうディオールじゃない」とばっさりやられた。

品質管理の責任者ということで、途上国の人たちとのコミュニケーションにはいろいろと苦労するところもあるらしい。でもやっぱりラオスのことは好きなんだそうだ。というか、日本が合わないという。

ラオスの人たちは貧しいけど、でもみんなよく笑うよ。日本人って本当に笑顔がないよね。特に東京は」

この意見に「絶対そんなことはない」とは言えなかった。そうだよな、と普通に思ってしまったし、多分多くの人が賛同すると思う。満員電車でふと周りを見ると、乗客の大半がうつろな顔つきでスマホを覗き込んでいる。ラインで「爆笑www」なんて書いていても、その顔はぴくりとも動いていないのだ。

日本がことさら不幸な国だとは思わない。でも、海外帰りの人から「笑顔が少ない」と指摘される国であることを、やっぱり憂いはする。できれば笑って暮らしたい。

2時間ほど喋っておひらき。FBがあれば、地球の真裏にいてもやり取りはできる。いい時代に生まれた、と素直に思う。

 

<今日の小池>
朝 ベーコンのサンドイッチ

昼 鶏肉のローストにバジルレモンソース、雑穀米、スープ

夜 いなりずし、卵焼き、りんご

おやつ ビスケット

ヨガ 少し

メモ 炭水化物を減らすプロジェクトになかなかかかれない。