賢者との夜
9時頃起床。気合を入れてスムージーを作る。提携先氏の影響で半年以上前からスムージーを飲むようになったが、体調にどのような影響を与えているのか、実のところよくわからない。朝一番に口にするものとしては爽やかでいいというくらいしか。まあおいしければそれでいいのか。
昼間はいろいろ買い物など。夕方から、カフェで文学研究者の友人S氏と会う。久しぶりだったので、お互いの近況報告などみっちり話し合おう、という主旨だった。が、やっぱりというか、いつも通り文学・批評・ジャーナリズムの現状についての愚痴やなんかから会合スタート。向こうはワイン、わたしはウォッカトニックで延々と、「最近の◯◯はしょうもない」だの「詩を理解しない人間が文学を学ぶなんてどうかしている」だの好き放題言い合う。
過激なことばかり言い合ったので内容を書くことはできないのだが、ひとつだけ。蓮實重彦のあの受賞コメントについて。何人もの批評家や文化人が「自分も何か言わないとバカだと思われる」とばかりに次々あれに言及したが、S氏も言う通り、そんなことしなくていいと思う。最近では、ああいうコメントに対して、もはや知識人ですら「黙って耐える」ことができないのだ。これは現代の批評界が抱える病のひとつであり、致命傷のひとつなのだと思う。SNS時代において、沈黙を選ぶ筋力というのは、これからますます大切になってくるはずだ。
彼は本格的に文学に取り組んでいる人間であり、わたしはもっと俗っぽい世界にいる物書きであるが、不思議とウマが合う。なんだかんだで知り合ってもう3、4年になる。自分なりに努力してものを読み(向こうはわたしの10倍以上読んでいるはずだが)「いいものはいい、悪いものは悪い」という価値基準を自分の中に持っているところを、ジャンルは違えどお互いにリスペクトしあっていると感じる。加えて言えば、どちらも精神の導火線が短く、「物言いに筋を通す」ことに対して過敏で、「仕事をするからには腹を切って腸を見せろ、もしくは何も言うな」というゼロか100かの世界観で生きている、というところも共通項かもしれない。互いに「仕事する上でオトモダチは必要ない」と思っているので、変な馴れ合いがないところも楽である。
解散するとき、いろいろと借りがあるから、という謎の理由で絵本をもらった。O・ヘンリーの『賢者のおくりもの』。大好きな話だ。リスベート・ツヴェルガーの挿絵が素敵。
最後に、「そろそろみきさんに洗いざらい白状させたいですね。いつも僕の話ばっかりしてしまっているので」とニヤニヤしながら言われた。のでわたしも、数々の人間たちが今までそれに挑み敗れていったのだよ、と返しておいた。次なる勝負が楽しみだ。
<今日の小池>
朝 グリーンスムージー トースト
昼 沖縄料理屋の生姜焼き定食
夜 サラダ クリームブリュレ ウォッカトニック
ヨガ やってない
メモ 今まで食べた生姜焼きの中で一番分厚かった。生姜焼きは薄くていいや、と思った。