山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

女豹になりたい。

えらく複雑な夢を見ながら10時前に起床した。薬の影響でややふらつく。トーストに蜂蜜をつけて食べたあとは、午後まで「セックス・アンド・ザ・シティ」のシーズン4を観て、ドストエフスキーの『白痴』を読んだ。

SATCは本当によくできたドラマだと思う。シーズンごと、話ごとに出来不出来はあるが、がっかりさせられることがあまりない。それぞれのキャラクターが本当に立っていて(好き嫌いは分かれるだろうが)、それぞれの人生を送っているのがわかるからだと思う。

結局のところ、人が見たいと思っているのは「誰かの本当の人生」なのであって、むちゃくちゃにドラマチックな恋愛とか悲劇とか、そういう「ストーリーのジャンル」で示せるものではないのだ。一見全然違う世界の作品だが、ドストエフスキーの小説を読んでいてもそれを思う。出てくる人間のほとんどは嫌なやつだし、小さくどうしようもない人生を送っている。でも、そのディティールを隠されて、「物語っぽい」部分だけ切り出されてもまったく面白いとは思えないはずだ。わたしたちは、キャリーの、シャーロットの、ミランダの、サマンサの人生を眺めて、それにくっついてくるおしゃれな洋服や靴や町並みを味わえればそれだけで満足してしまうのである。

夕方は、とあるレッスンを受けに銀座へ。歩き方をはじめとした「女性らしい、優雅な動き方」について教えてくれる講座のお試し回。講師の先生は男性だが、わたしの500倍くらい女性らしい動作を見本として見せてくれた。人間が「女性らしい」と認識する動きにはパターンがあり、それは骨格や筋肉の構造からいっても全然無理な動作ではないので、からだの緊張をほどけばちゃんとできるらしい。わたしは常に緊張でガチゴチになっている人間なのでまさにうってつけの内容だった。先生も優しい感じのいい人だった。なんとか通ってみたい。

「ライオンやなんかの、食物連鎖の上の方にいる動物って、優美で自信のある感じの動きをしているでしょ。一方で、下の方にいる小さい動物なんかは、常に周りを警戒してビクビクした動きをしてる。よくセクシーな女性を『女豹のよう』って表現するけど、つまり人間は、自信に満ちた、自分は捕食されないと思っているタイプの動きにセクシーさを感じるわけです。色っぽくなきゃダメなんてことないけど、動物として自然な、力強い動きをしている方が、結局体にも心にも負担がないからね」

耳が痛い。私は図体がでかいのにも関わらずハツカネズミのようにビクビクした動きだからだ。なんとかもうすこし食物連鎖の上の方に行きたい、ヒト科ヒト属ヒトとして。しかし、終わりがけに先生に「頑張ります」と言ったら「頑張っちゃだめなんだよ。力を抜いて」と返されてしまったのであった。女道の先は長い。

 

<今日の小池>

朝 トースト

昼 キャベツとアスパラと鶏肉の炒めたやつ 納豆

おやつミスドのオールドファッション 烏龍茶

夜 ラーメン

ヨガ 15分

メモ ヨガをやるとやっぱり調子がいい。