山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

球技大会

結論から書くと 私のミスで優勝できなかった。泣いた。
帰ってきて、シャワー浴びて、母にメールして、ピザ食って、ピアノでありったけの曲を弾いて、ようやく頭が冷えてきたみたい。

最初の一年生2クラスは余裕でくだし(その間ボールに触れていない私)、
次のクラスにも、ちょいと苦戦したけど勝った。
次の相手は、優勝候補だといわれていたR率いるクラスだと思ってたんだけど、
一年生のクラスに負けていて、準決勝の対戦相手はその一年クラス。
相性がよかったらしくてストレート勝ちしたけど、何点差をつけられても絶対に諦めない、すごいクラスだった。

私は、4試合中あんまりボール触ってなかったけど、ミスを3回ほどやった。
Yに何度も「集中しろ!」と怒られる。辛い。
そのたびにNが「いいよいいよ俺があかんかった」と言ってくるのも辛い。

Yは神がかり的なアタック力を見せ、常時女の子の黄色い悲鳴にまみれていた。
多分今日だけで40人くらいのファンがついたんではなかろうか。
ハンサムで細身に見えるのに、脱ぐとムキムキらしい(A談)。

ファインプレーを決めた後、何回かYと手を叩き合ったけど、強く叩かれすぎて手がジンジンした。

勝戦。はっきりいって、油断していた。
Aは「普通に勝っちゃうじゃん、つまらんわー」と言っていて、私もそう思っていた。

開始10分でぽこぽこ点とられた私達。5試合目ともなると、皆集中力が乱れてきていた。
1セットとられ、次は取り返し、3セット目。

ものすごい接戦。私までサーブが回ってきませんようにという願も空しく、私のサーブで失点。涙が出た。
Nが「すぐ取り返せるから気にすんな」と肩を抱いてくれた。
Yが真剣な顔で「いいか、自分でミスした分は自分で取りかえせよ」。
これ、私は「怒られた」としか思わなかったんだけど ギャラリーはこの言葉に感動してたらしい。彼は士気を上げてくれたつもりだったんだろう。

デュースになってかなり頑張ったけど、すっとんだボールを私が取れなくてゲームセット。
目の前が暗くなって、その場に崩れて泣いた。
女子達が私取り囲んで何か言ってたけど、内容を全然覚えていない。
その後、誰が私のことを呼んでいたけど無視して部室に逃げ込む。

なんだかんだ言って、男子に混じっていたことはものすごいプレッシャーだったみたいで、気がゆるんでめちゃめちゃ泣いてしまった。
「私男子のチームで出るんだよ、まったくいくら私が男みたいだからってさー」とおちゃらけてやりすごしてきたけど、恐かったしずっと不安で死にそうだったさ。

帰り道、Oと一緒になったので愚痴を言う。

家に帰って鏡を見たら、マスカラをつけた睫毛の上に砂がつもって灰色になっていた。


母さんに今日のことをわーわー話したら

「それはみき、桜木花道と一緒で、自分のミスで負けたなんて思うのはうぬぼれだよ」

だって。それもそうかもな。私はただの人数あわせだし。

 

Nからメールが来た。
「気に寸なよ 泣くなよ」て、相変わらず変換が雑だ。

N「明日の試合、暇だったら見にきぃや」

N「いつもの二倍すごいことやっちゃるわーまかしときぃ
 ダブルクラッチみせたるよ」

やらんでいい。怪我人だろ。
でも嬉しかったな。Nは本当にいいやつだ。

それにしても、団体競技におけるプレッシャーってのは尋常じゃないね。
自分のミスが皆に迷惑かけるっていうあの状況、私絶対耐えられない!
私は武道を今まで何年かやってきていて、試合もたくさんやった。
それなりに緊張はするけど、肝が据わってる方ではあると思う。落ち着いてやれる。
でもそれは、どんな結果になろうがそれは自分ひとりのせいだからだ。
気楽、というのとは違うが、己のことと敵のことさえ考えていればいい。
言い方は悪いけど、あまりにもやる気がなかったら、適当にやったって誰にも迷惑はかからない。
でも団体競技ってのは、全員が全員の事を考え、常にベストを尽くさなけりゃならない。
絶対無理。考えただけでぞっとする。
こんなプレッシャーに、皆どうやって打ち勝っているの?

まあ、それでこそ得られる感動というのがあるんだろうな…とは思うけど、私のような自己中道をひた走る女にその感動は無縁のようだ。

 

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(補足)男子の少ない文系クラスだったため、人数合わせのために私が引っ張り出されたのでした。球技の部活にも入っていない、体育が苦手な私がなぜ指名されたのかというと、男子たち曰く「普通の女子じゃ気を遣っちゃうから」。とほほ。

2022/12/23