山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

うさぎとバラ

遅め起床。レーズンパンをもしゃもしゃと口に詰め込んで家を出る。109で安いベージュのパンプスを買う。明日の写真撮影で使うのだ。エスペランザというブランド、プチブラだが25.5センチまであるので助かった。わたしは、25センチの靴でないと大抵入らないのだ。

夕方から、東大でEduce Cafeというトークイベントに登壇。本作りについてあれやこれやと偉そうに語る。わたしのことを知らない人が十数人も集まってくれて恐縮だった。同業の人もいたし、まったく違う分野で働いている人も、大学教授もいた。

中学生もいた。主催の方の息子さんである。今日はたまたま手が空いていたので、手伝いに来てくれたらしい。数学がものすごく好きな、ちょっとふうがわりな男の子で、とても良い子だった。最初はわたしに対してかなり警戒していた様子だったが、しつこく話しかけていたら急に打ち解けて、むしろあちらから話しかけてくれるようになった。

小池「ねえ本好き? どんなの読むの?」
息子氏「色々です……」
小池「ええ〜ねえねえどの作家が好き〜?」
息子氏「有川浩とか……」
小池「有川浩かそうか〜。有川浩読めるなら大体の小説は読めるよね」
息子氏「保育園のときに森鴎外を読もうとして挫折しました」
小池「!?」
息子氏「祖母にすすめられて」

わたしも活字に親しむのは比較的早い方だったが、小学校高学年にならなければ、森鴎外なんてとてもじゃないが読む選択肢に入らなかった。凄まじい早熟ぶりである。今は数学の本を読んでいるらしい。漫画やアニメには興味がないとのことだった。イベントのテーマを聞いて、「本づくりって、製本作業のこと? それとも構成の話?」とすぐさま聞いてきたところからもその飛び抜けた頭の良さがわかる。

数学が好きな彼は、折り紙も好きだという。わたしも好きだ。折り紙は数学とも関係が深い。ちっとも理解できなかったが、折り紙を数学で分析した論考本をいくつか読んだことがある。

息子氏は、イベントの始まる前にピンク色のうさぎを折り、わたしにプレゼントしてくれた。そしてイベント終了後には、なんと名刺代わりに、赤いバラを折って渡してくれたのである。男性に赤いバラをもらうのはそれなりに多くの女性が憧れるシチュエーションだと思うのだが、わたしもとうとうそれを体験してしまったわけだ。13歳でそんなテクを身につけている彼はすごい。主催者氏によれば、バラの後は手品を披露するというルートも隠し持っているらしい。海外に通用するジェントルマンぶり。すっかり好きになってしまった(ちょろい)。

イベントは和やかに進み、つつがなく終わった。ボイトレの効果もあり、2時間喋ってもなんとか声がもった。喋りっぱなしになってしまったのと、もう少し具体的で実用的な話ができればよかったなというのが反省点。その辺は次回以降に活かしたい。大学の先生二人から「とても面白かった、学生向けにも今度話してほしい」と言われたので、ほんのちょっとだが自信がわいた。

「君はもっと人前で話す仕事をした方がいい」と年配の方にアドバイスされたことがある。その方によれば、わたしはそういうのに向いているタイプなんだそうだ。まだまだそういうレベルの仕事はできていないものの、自分の勉強にもなるので、これからもいろんなかたちでアウトプットしていこうと思った。そして本づくりはやっぱりずっと続けたい。本という物体が、わたしは好きなのだ。

ピンクのうさぎと赤いバラを、この気持ちのシンボルにしよう。

 

<今日の小池>

朝 レーズンロールパン

昼 ナチュラルローソンのあんこギッフェリ

夜 やよい軒のとんかつ定食

ヨガ 5分

メモ あんこギッフェリ、たまに食べると超絶美味。