山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

まどろみ

4時ごろに腹の痛みで目が覚める。そこから二度寝に入れず、多少うとうとしつつも6時には覚醒。朝活をして夫を送り出してから寝ようと1時間ほど頑張るもどうも眠れない。結局収穫はうっすらとした眠り約10分。

昼は友人が家に遊びに来たので出前ランチ。私はチキンカツカレーを食べた。

すでに子どものいる友人に「腹の皮が持ち上がるほど毎日中から蹴られていて痛い」とぼやいたところ、彼女にそんな経験はないという。やはり個体差の大きいジャンルなのだ。

そして雑談の中で「みきさんは『育児マンガを描こうとは思わない』って言ってたけど、育児マンガを読みたいというか、みきさんの目に赤ん坊という存在がどう映るのかを知りたい気持ちがあるので描いてほしい」と言われてなるほどなあと思った。出産・育児体験については誰が何を発信しても程度の低いクソリプにまみれるという認識があり、妊娠体験以上に何も出すまいと思っていたが、同人誌でなら描いてもいいかもしれない。

夕方、今度は沼に沈むように1時間半ほど寝る。汗びっしょりで起きてから(冷房はつけているが、ホルモンの影響でどうにも汗が止まらないことがある)、昨日の勉強会についての返事を悩んだ。無理矢理参加してしまおうかとも思ったが、やはり出産が終わってから再検討することに決めた。身体が予想以上にボロボロの状態になったら、育児しながら「でも今月も活動実績を作らないと……」などと考えていられないだろうし。

しかし、創作関係のコミュニティ(講座、勉強会など)への参加を検討するのも数度目だが毎回悩ましい。一番悩む点はなんといっても、政治観やジェンダー観が食い違いすぎないかというところだ。別にそこが自分と完全一致していてほしいとは思わないし、ポリティカルなトピックが主軸あるいは目的になっているような場だとかえってやりづらい面もある。ただ、以前参加したコミュニティは、主催者……というか講師がかなり不正確で先鋭化した意見を発信するようになってどうしても居心地が悪かったので、同じことを体験したくないのである。しかし入る前にそこを確かめるのは困難なのだ。

 

勉強会

具合悪め。すみやかに寝てすみやかに起きられた時代の自分の感覚がもう思い出せなくなっている。

それでもなんとか立て直し、夕方はとあるオンライン勉強会に参加。作家やシナリオライターが多く所属する会である。内容について公言はできないが、合計3時間ほど参加者の話を聞きいろいろと刺激を受けた。

私はもともと新書の構成をメインとしていたライターだし、漫画はエッセイコミックしか描いていないから、フィクション方面の知り合いが書き手でも編集者でも少ない(そもそもライター業からはもう実質離れているようなものだが)。今後は創作かつエンタメ寄りの活動をしている人との交流を増やして話を聞けたらいいなと思っているので、この勉強会にも魅力を感じた。

しかしたかが3時間でも同じ体勢をとっているのがきつい。終わるや否や腹が張って痛くなった。すぐの入会はきついかも。

尋問

夫と午前中から都会に出る。

当初の予定では、ホテルのラウンジでお茶をして「結婚相談所でマッチングしたお見合いカップルに囲まれながら自分たちもそれっぽい会話をする」遊びをする予定だったのだが、諸事情あってラウンジには行けず。しかしかわりに近場の多少高めの喫茶店に入ったところ、隣の席の2人がまさに相談所か何かでマッチングしたらしいお手合わせカップルだった。

2人が去ったあとの夫のコメント。「あれは、男性が女性に仕事の話しかふることができず“尋問”になってしまっていた例ですね。よくあります」。ちなみに夫は結婚相談所で一年活動したのちに私と結婚した人だ。

私はシフォンケーキと紅茶を、夫はコーヒーとコーヒーゼリーを食べてから、新宿の紀伊國屋へ行って本をひやかす。夫を歴史本コーナーに置き、私は上から下まで見て回った。韓国の小説を一冊、日本の新刊小説を一冊購入。夫の方も二冊買っていた。

途中、平台の本の上に肘や腕を置くようにして本を読んでいる男性を見つけて非常に不愉快になった。この時期は汗がつくので特によろしくない。書店員時代の私はこういう客を見つけるとどれだけ嫌がられても注意してやめさせていたものだが、紀伊國屋くらい広い店だとそういう対応も難しいだろう。

本屋のあとは歌舞伎町の方の凪で煮干しラーメンを食べる。久々だったから量に不安を感じたがぺろりといけた。歌舞伎町は相変わらず。変な名前のホストが増えたのはやはりSNS受け対策というかSEO対策というか、ネットを意識してのものなんだろうか。

ラーメン屋の待ち時間と帰りの電車の時間で新刊小説を読み切る。宗教二世についての話。一人の人間が求心力をもってつくるコミュニティは、その一代までしか実質機能しないということを作者があとがきで書いていてたしかにと思う。

 

寝坊

昨日もかなり遅くまで寝られなかったため、布団から出たのが7時半。やはり起きるのが遅いと自己肯定感が下がる。今日は頑張って早く布団に入って6時半には起きたい。

朝食後、しばらく『国会学入門』(大山礼子)と有斐閣ストゥディアの『政治学入門』を読んだ。『国会学入門』はようやく2章を読み終えたところ。政党と会派と議事進行の関係がややこしく、理解するのにかなり時間がかかってしまった。

なんというのか、わかっちゃいるのだが総じて「政治家同士が話し合って決めていることになっているパートで実際に行われているのは追認だけで、話し合い自体はヨソでやっている」ということが多すぎる。真面目に考えていると虚無を噛むような気持ちになってくる。日本は政党や会派の成立が議会の誕生よりも事実上早かったため、会派間の利害調整を前提に議会の進行フレームが作られていったようなのだが、一世紀以上前の事情が現代の構造にそのまま引き継がれているのかと思うとなんとも不思議な気持ちになってくる。これは公職選挙法なども同じだ。

それにしても、立法の仕組みを子どもに説明するとしたらどう言えばいいのだろう。単純に「政治家が、国会で話し合って法律のことを決めているんだよ」とはとても言えない。国会外で話し合いすぎだし、どこをもって「決め」が発生しているかというのも難しいし。

しばらく読書した後、外出。なんとなく近所のファミレスで昼食をとったあと、スーパーで食材の買い物をして帰る。野菜など重いものをたくさん抱えて帰ったらさすがに苦しかった。9ヶ月にもなって今更だが、「重いものを持たない」という注意はたしかに必要らしい。

夕方以降はニュースレターのための作業をあれこれ。文章の進みが遅くて忸怩。明日からはもうちょいなんとかしよう。

 

おっぱいがんばる

産院にて32週の検診を受ける。ここまではセミオープン形式といって、家からそんなに遠くない別の婦人科クリニックで検診を受けていたのだが、妊娠ラストスパートの今日からはこの大きくて遠い病院に通わなければならないのだ。大きな病院なだけにいちいち待ち時間が長く、移動も含めると3時間はみなければならないのがやや億劫。まあ仕方ない。エコー検診の間も胎児は激しくうねりまくっており、医者が「ものすごい動き方だ」と驚いていた。

検診の後は分娩入院の説明を受ける。その際、看護師に若干おそるおそるといった感じでこう聞かれた。

「あのう、おっぱいクラスがあるんですけど、おっぱいすごく頑張りたいとか、そういうこと考えてらっしゃいますか?」

おっぱいすごく頑張るって何だ? となり、「あ〜……?」と時間稼ぎの無意味な声を出しながら3秒、4秒。

あ、「お前は完全母乳育児をしたいか?」って聞いてるのか。

「いや、その辺は私は適当でいいと思っています」と返したらホッとした様子でそのまま話が進んだ。やはり相手が母乳原理主義者みたいな人の場合慎重にしないといけないとか、安易に「完母」などの具体的な言葉を使ってその後の禍根の伏線にしないようにとか、そういうマニュアルがあったりするのだろうか。

長い時間病院にいて疲れたので、解放されたあとはトンカツ屋でヒレカツ定食を食べた。