山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

2月まとめ

 2月は久しぶりに結構映画館に行ったので、メモ。
 
 2月頭に、映画好きのR先輩と二人、「キックアス」を観にゴールド劇場へ行く。久しぶりに、途中で飽きることのない映画を観られた。キャラクターは皆魅力的で、ストーリーも皮肉と優しさに溢れており、まさに、カユイところまで手の届くエンターテインメントという感じ。大作ではないが、快作。
 キャラクターのことを言えば、ニコラス・ケイジ(私と誕生が一緒のニコラス)がやはり大変いい味を出していた。彼は完璧にこの映画の切なさを理解し、表現していたと思う。この21世紀で、”ヒーロー”が持たざるを得ない狂気を。アメコミオタクとして当然か。汚い洗面所で目の隈取をする姿に胸が詰まった。ヒットガールのミンディも非常に達者。数ヶ月かけて、バタフライナイフの扱いを拾得したそうだ。すごく身体能力も高いし、今後に期待。主役のアーロン・ジョンソンはイギリス人らしいが、制作サイドの言う通り、アメリカンな世界観に完璧に馴染んでいてすごい(オーディションの際、出身を聞いたヴォーンは「冗談だろう」と思ったそうで)。
 見終わった後は、二人無言でパンフレットを購入。評判良いわけだね、と感想を言い合う。
 私があちこちで泣いたことを伝えると、先輩は「どこで泣ける!?」と驚いていた。

 
 その次は、後輩Sを連れてシネマテークで「海炭市叙景」。北国の”シケた”町を舞台に繰り広げられる淡々とした、そして深々とした人間ドラマ。プラネタリウムの操作員が主役のエピソードがなかなか味わい深かった。予想通り、きれぎれのエピソードの数珠繋ぎ作品なので、わかりやすい盛り上がりには欠ける。寝不足だったため、冒頭30分の間は眠くて眠くて、しょっちゅう白目をむいていた。途中から復活し、その後は集中して観る。ところどころでわざとらしさが鼻についたが、どこまでも侘しく美しく、一人一人のやりきれない惨めさが、手に取るように伝わってくるところが良い。最後の猫のシーンはなくてもいい。
 

 次は109で「ゴセイジャーVSシンケンジャー」を鑑賞。日曜特撮の映画を映画館で観るのは実は初めて。完全にアクション狙いで行った。満足の出来。押川さんの森での側転が特に素晴らしかった。全体的にシンケン優先の配役。ゴセイジャーは個性が足りないように思えてしまう戦隊だが、重めのシンケンジャーと並ぶと、その天真爛漫さがうまく個性として輝く。観ていてストレスのない、いい作品だった。やっぱり戦隊大好き。


 翌週、詩書きの友人Yとシネマテークで「心中天使」を観る。監督がうちの大学の教授でもあるので、学内でも何度もポスターを観ていた。
 個人的にはこういう映画は好きではない。嫌いでもないが、興味ももてない。こだわっていることはわかるが、思わせぶりの先がない、という印象が第一に来る。新鮮さはなかった。
 むしろ漫画でやった方が良さそうだな、と思う絵づらが多々ある。例えば男が自分の手で壁に天使の羽の影を作っているところとか、女が家の屋上から飛び降りるところとか。ピアノ女がうつろな目でじっとしているところとか、あすかちゃんが恋人の背をなでるところとか。あれらは、絵だったらキマッただろう。浅野いにおに描いてもらいたい。しかし実写で、時間を水のようにふくませて観ると、あまりにも”キマりすぎて”いてちょっと笑ってしまうのだ。「キマりすぎている」というのは一緒に観た友達の言だが、その通りだなと思ったのでまねをする。
 この映画で表現したい切なさは、字幕が出ているかのようにわかる。空の写真。青いペンキ。猫。素敵な音楽。でもわかるだけで、何も感じなかった。感じる人もいるんだろうけれど。この映画を「難しい」と言う人が多いみたいだが、難しさや謎というものも感じなかった。あけすけで、上品で、礼儀正しい、そういう”人”たちと向き合っている時の感覚そのまんまだ。”美しい”人に向けて作られた、鏡のような動画だ。


 映画館に行くとそれに反比例してビデオ鑑賞の量が減るんだけども、いくつか。


・「GLEE」二期 レイチェルが恐ろしい
・「ダークナイト」 微妙
・「市民ケーン」(再) やはり名作
・「地上最大のショウ」(再) ボタンズの勇敢さに全私が涙

 
 本は、今は橋本治を読んでいる。また、鸚鵡籠中記がらみの書籍をぼちぼちと。