山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

ゾーニング

大阪府堺市の図書館で「ボーイズラブ」小説貸し出しを巡り騒動に
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 私は昔大型書店でライトノベルの棚を長らく担当していたので、若年層向けエロコンテンツは見慣れている。そして、その客層があまりに幼いことも知っている。大人も多いけれど、圧倒的に多いのは中高生だ。下手すれば男女の性のこともよく知らないような子供が、濡れ場満載の(そういうのばっかりじゃないけどね)BL本(淫乱な秘書だの獣の帝王だの)を嬉々として読む。

 このニュースを読むと「盗難が多発していて困っていた」とのことだったけど、これは非常によくわかる。書店でも同じだ。ラノベはマンガと同じくらい盗難が多い。BLなんかは特に。一番多いのはパロディ同人系だった。私から見ると気色悪いとしか言えないようなエロマンガがちょくちょく盗られていた。
 そういうのは、読みたいけど買うときに店員に見られたりするのが恥ずかしい、でもアマゾンなどで注文するのも家族に見られたら困るからできない、という世代が犯人であることが多いのである。ラノベなんかだと特に「安いから一冊くらいかまうまい」という意識が生まれるらしい。

 読み手の意識としても、やはりBL本(特に性描写が強いもの)は「購入するのがちょっと憚られる」本なのだ。それがわかっていて尚読みたいなら、恥辱に耐えてみせろと言いたい。周りの客の目に耐え、レジ店員の眼差しに耐え、母親によるガサ入れが行われても大丈夫な場所を考える。そういう度胸や知恵もない子供に、エロだのBLだのを読む資格はない。男色が見たければ、おとなしく三島由紀夫の『禁色』でも読めばいい。

 ちなみに私個人には、BL愛好の趣味はない。竹宮恵子萩尾望都は好きだけどね。BLが嫌いだと言うと「同性愛に偏見アリ」と思われることがままあるが、あれは同性愛とは明らかに違うものだ。


「BLが駄目なら、性描写を含む普通の小説も駄目じゃないか」
 
 みたいな意見を見るけども、所謂ジュネ世代以降のBLのカテゴリそのものが持つ方向性は、普通の文芸書(普通の定義を問われたら困るが、ひとまず)ではなくやはりエロ本・エロ雑誌・AVなどに近いと感じる。勿論、レーベルや作家によって表現しようとしてるものは違うんだろうが、少なくとも私が今まで読んだり見たりしてきた性描写ありのBL本の中で、「図書館にあっても問題なし・子供が読んでもOK」と思うものは皆無だ。下賎だと思っているわけではない。ただ、安易に「刺激」を求めがちな18歳未満が、こういう本を手に取りやすい状況を作るのはやはり良いことではないと思う。

 「特定の本を排除するのは問題」と言うけども、何がそんなに問題なんだろう。読みたければ本屋に行けばあるのに。自分の好きな本が有害図書扱いされていると感じたんだろうか? 

 ちなみに、BLを始め女性向けカテゴリの小説やマンガに年齢制限がほとんどないのは、女性が性犯罪を犯す可能性が、男性に比べて極端に低いからだ。女向けだと、結構過激な本であってもゾーニングマークがついていないことが多い。
 変な話だよな。