山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

夏のそらがみえる

引き続き体調の悪い目覚め。最近、夢を見ても寝起きの身体の不快感ですぐに忘れてしまうのが残念だ。

マンションの工事が始まってしまい、私の嫌いな金属音が鳴り響きまくるのでたまらず外出。少し遠いところにある大きな図書館へ、前から読みたかった資料本を読みに行くことにする。買うとなると古本で二万円くらいになってしまうが手元に置いて熟読するほど必要な本でもなく、国会図書館などに行くことがあったら出してもらおうと思っていたのだ。

それにしても腹が突っ張って痛くて困る。徒歩20分先の最寄り駅に着いた時点でなんだか疲れたのでマクドナルドでアイスティーを飲んだ。そこから電車を乗り継ぎ、かなりの坂道を登ってなんとか到着。

本を書庫から出してもらっている間に詩集でも読むかと思い、適当にエミリ・ディキンソンを引っ張り出すついでに近くにあった『スプーン・リヴァー詩集』(エドガー・リー・マスターズ)も積む。ディキンソンの詩がすばらしいのは当然として、20世紀初頭に書かれたらしい後者も非常によかった。著者の住むイリノイ州にあると設定した架空の小村スプーン・リヴァーに住む市民たちの、小さな独白をひたすら積み上げる体裁の詩集である。“リベラル”連中に毒を吐いている者、過去を追想している者、妻への怒りを吐いている者。市民たちのなんてことないしかし多様な声が、現代化するアメリカの鬱屈や未来への予感を織り上げる。ポリフォニックで物悲しい、私が思う“民主主義”の詩だった。これは知ることができて良かった。

夜はU-NEXTで、チェコスロバキアの政治家アロイス・ラシーンの伝記ドラマ「滅亡した帝国」を少し観た。私の浅い知識では理解が追いつかず、観ながら逐一ネット検索をする。ラシーンハプスブルク家に支配されていたチェコ(民族)の民族運動を支持し、第一次世界大戦後にチェコスロバキアの建国を主導した人物である。その後大蔵大臣に就任した彼は、国内経済の安定のため緊縮政策を繰り返して国民の反発をかい、1923年に暗殺される。この頃の中欧の政治模様についてはさっぱりだ。まあ、一旦ゆるっと眺めておこう。