山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

散歩の日

 チームメンバーが全員忙しすぎてよくないというのでマネージャーから順番に休みをとるようお達しがあり、今日は私の休みの番だった。
 脱稿明けで何の締め切りも抱えておらず、久しぶりに心安らぐオフ日。朝から掃除をし、家の中の足りない備品などをamazonで買う。在宅勤務がしやすいように部屋の照明なども変えることにした。カーテンなんかもこの際だから買い換えようかと思っている。
 昼頃に、しっかりマスクを装備して散歩に出る。日差しは強く風は冷たく絶好の散歩日和だった。行きつけの喫茶店でマグロの漬け丼を食べ、『デイヴィッド・コパフィールド』を少し読む。
 それから2〜3キロ先にある自然公園へと足を伸ばした。工場の跡地に作られたわりと広い公園で、芝生と木々と池があるだけの簡素な遊び場だが、地元の人たちには憩いの場として親しまれている。人はそれなりにいたものの、”三密”ではないので皆リラックスした雰囲気。
 ひとめぐりししたあと、私も周りと同じように葉桜となった桜の木の根元に転がって、好きなアニソンや特撮ソングを聴いたり、跳ね回る犬や子どもを眺めたり、その辺の小枝を折ったりして過ごす。こういう草木があるところで、これといったことをせずだらだらする時間が心から好きだ。
 人が多いところは避けて、近所をぐるっと回って帰宅する。スマホを片手に通話しながら自転車をこぐ中年女性が、「政府がさ、風俗の人たちには給付金を出さないみたいなこと言ってたじゃないの。信じられないよね。何のための納税だと思ってのって感じよ」と熱心に電話相手に向かって話しているのを見かけた。ながらスマホはやめてほしいものだが内容にはもちろん共感する。
 つい最近までコロナの影響を感じなかった我が町も、今日歩き回ったら多くの店が時短営業の張り紙を出していたり、テイクアウトサービスを始めていたり、営業そのものを休止していたりした。おそらく商店組合などで調整があったのだろう。しばらく遠出はできないわけだし、これを機になるべく近所の店を活用しよう。
 ところで、こういう状況下だからこそ手に取りたくなった文学や音楽のことは覚えておきたい。いまのところフランツ・リストピアノ曲パール・バックの『大地』、今日読んでいた『デイヴィッド・コパフィールド』、村上春樹の『1Q84』(青豆のパートの、部屋に閉じこもって生活しているところを読みたくなった)あたりだろうか。どういうわけかあまり映画は観たい気持ちにならない。