山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

書くべきこと

 歩かない生活が辛くなってきて、午前中はひさしぶりに長い散歩に出た。河原を歩き、橋を渡り、隣町のKへ。家と近所のスーパーの往復で過ごす間に春も進行し、日差しが強くて暑いくらいだった。
 駅近くの百貨店は臨時休業しており、道を行く人たちの6割はマスクをつけていた。カップルのうち片方がだけマスクをつけてもう片方がつけていないという2人とすれ違って、あれは1人がコロナを気にしないたちなのか、1枚しかなかったものを譲り合った結果なのかどっちだろうとしばし考える。
 ちょっと不安ではあったが、外出ついでに昼食を近くの店で食べ、その帰りにGEOにも寄る。深津絵里が主演したドラマ「恋ノチカラ」を久しぶりに観たかったのだが、しばらくこない間に取り扱い自体がなくなっていた。DVDの扱い点数が増えて間引かれたのだろう。
 1時間ほどで帰宅し、溜まっていた衣類を洗濯機にかける。洗濯が終わるまでの間に、空になったゴムのバスケットに湯をためて足湯をした。
 あたたまりながら、届いたばかりの鈴木智彦『ヤクザときどきピアノ』の序章を読んだ。ちなみにこの二ヶ月ほど、フランツ・リストに興味を持ってぼちぼち伝記など読み進めてきていたところである。ピアノという偉大な楽器の存在感が私の中で、リストと鈴木智彦という一見共通点の少ない人物たちによってにわかに高まる。でもこの2人には共通点もある。ピアノのもたらす歓喜を知っていることだ。
 それ以外の時間は、今日はすべて漫画原稿に費やした。前々回、前回、今回とだんだん楽にはなってきている気がする。
 報道。東京都の新規感染者数が三桁を超えた。予想よりもやや遅い到達だったが、これでまたさらに温度感は上がるだろう。
 NHKの特集なども少しだけ観た。自粛生活の中でできる社会貢献についていろいろと考えてはいるが、感染しない・させないようにすることと、できる範囲でさまざまな支援団体に寄付をすること、書くべきことを書きかかないでいるべきことを書かないでいることしか思いつかない。そして、今書くべきことについては毎日考えている。コロナ騒動が終わったあとに書くべきことについても。
 それにしても、日に日に「もしかしたらこの騒動の中で死ぬかもしれない」という想像が濃くなる。