山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

生命の水

 フルリモートワーク二週目(正確にはその前の週からリモート多めではあった)。
 朝からAmazon Musicで「テンションあげてくリスト」を作成する。ファレル・ウィリアムスの「Happy」を聴いていたら作りたくなったのだ。とにかく明るくてノリのいい曲を入れていこうと思い、「Happy」の次に入れたのが「Daydream cafe」で、その次が「桜の時」で、次が「Anything goes!」だった。この4曲時点で、リスト作成者のパーソナリティが「30代の落ち着きのないオタク」であることは読めるだろう。アニソンやミュージカル曲、特撮曲、洋ロック、アルゼンチンタンゴなど50曲ほど入れたところで一旦区切りをつけ、朝食を食べたり仕事をしたりする。
 日中、休憩時間にタンゴシューズを履いてリビングを歩く。3メートルほどの幅の間を、一歩一歩踏みしめて往復した。当面人とタンゴを踊ることはできないから、体幹レーニングとカミナンドの練習をしておくしかない。自粛明けに、先生たちに驚いてもらえるくらいになりたいものだ。
 仕事を終えたあとに『はてしない物語』をつまみ読んだ。歳をとるごとに、アイゥオーラおばさまの章の凄さに感じ入る。

「おばさまのは、愛じゃなかったの?」
 アイゥオーラおばさまはしばらく考えてから答えた。
「あれはあなたが望んでいたものだったの」

 このやりとりのひりつく感じを、子どもの頃にはいまの半分も理解できなかった。「持っているものを与えるだけ」と「愛する」の違いについて察し始めてから読むと刺さる。そして毎度のことだが、最終章のコレアンダーとバスチアンのやりとりで涙する。ここだけを読んでもいつも泣いてしまう。それにしてもいまの世界には生命の水が足りない。とりわけ日本には足りなく見える、のは単に母国に関しては情報をたくさん得て厳しい目で見てしまうからか。
 漫画の原稿の進みは二割。状況の変化を受けて、ネームを三回切り直してしまった。