山羊の沈黙

たくさん読んでたくさん書く生活を模索しています。

冒険は

原稿仕事をしているときはいつもそうだけど、一日が過ぎるのが早い。猛烈な勢いで吹っ飛んで行く。ちょっと気を緩めたとたんに五月だ。気づけばみどりの日が終わり、明日はこどもの日だ。私の住んでいるのは下町なので、こいのぼりの姿もよく見かける。こいのぼりはいいものだ。「おうさま」シリーズの一作を思い出す。

初めてのことをする時には勇気が要るが、大体終わってみると「あそこまで勇気振り絞る必要はなかったな」と思うことがほとんどだ。多くのものは「なーんだ」で終わる。「私の勇気じゃ全然足りなかった!」と思うことなんてめったにない。例え失敗に終わったとしても、「挑戦すること」自体はあっけなく終わる。あっけなさを感じた瞬間、そうか好き勝手にやればいいんだな、と毎度思う。ジェットコースターもそうだし、お洒落なバーに入ることもそうだ。私はそういう「プチ冒険」がやたら好きな人間なのでしょっちゅうそうやってアドレナリンを出しまくっている。なにしろストイックな生活(貧乏生活ともいう)を送ってきたので、手つかずの冒険が山積みなのだ。時間がいくらあっても足りない。

いい冒険をした後の一日は清々しい。今日もよく原稿をして、本を読んで、近所の料理屋でヒレカツ定食を食べて、川原を散歩して、また仕事をした。それすら本当は冒険なのだ。それをいつも思い出せる状態でいたい。そうでなければ一日は一瞬で消える。