ペンキ塗り
久々にペンキ塗りの作業をした。
私は塗るのが下手だ。どうしても手をペンキまみれにしてしまう。
ペンキをごっそりのせてしまった指は、まるで黒いゴム手袋をしているようだった。
作業の合間に小川洋子の「アンジェリーナ」を読む。
彼女の文体はさらっとしていて割と好き。
表題作の「アンジェリーナ」と、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」だけ読んだ。なぜか「ウサギのくれたバレエシューズ」を思い出した。
家に帰って、荻田浩一のショーの映像を見る。
ああやっぱりいいなあ。「バビロン」のオープニングは最高だ。生で観たかったなあ。私が観ることができたのは「タキシード・ジャズ」だけだから。あれも良かったけど。
知るのが遅過ぎたよ。
「蜘蛛女のキス」も、丁度一番忙しい時で観られなかったし。
あれ、そういえば今日って、雪組千秋楽ではないか。
今日はオギーのさよなら公演の日だったんだ。「愛する人を残して」行ってしまうのか。残念でならない。
オギーほど、スターの個性を活かしてくれる人はなかなかいないと思う。どんな下級生であろうと、脇役タイプであろうと、ひとりひとりの光るものを、ちゃんと光るようにと、手づからスポットライトを当ててくれる優しい人だったのに。
「タキシード・ジャズ」で私は、下級生の名前をたくさん覚えた。まだ花組の観劇は3回目で、二階席からオペラグラスで観ていたというのに、それぞれの個性が記憶に残ったのだ。そういうショーだった。
「あの人歌うまい!」とか「あの子はすっげー美人だ!」とか。
何も知らない私でもそう思ったんだから、彼らのファンの人達はさぞ嬉しかっただろうと思う。
……今はただ、オギーの今後を応援するのみ。
いつかは
溶けて消えるように
誰もが君を忘れていく
だからこそ荻田先生、これからも美しい世界を創って欲しいよ。