考える引き出し

小池みきがなんでも書くところ・タンゴ練習記録多め

占いと疲労

 先月仕事で無理をしすぎた反動か、火曜からずっと体調悪め。特に昨日から今日の午前中にかけては、体をまっすぐにしていられないくらいの疲労祭り。おかげで、少し机に向かっては床に伸びる、を繰り返している。
 午後は、海外出張に行くためインコをあずけにきた友人に、「痩せたねえ」と言われてしまった。自分ではあまりわからない。
 滋養のあるものを食べねばと思っていたのに、結局彼女と別れたあともこんにゃくゼリーとかばかり食べてしまった。

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 昨日は、また人に頼まれて占いをした。知り合って間もなく、あまり個人情報を知らない人。そういう人相手の方が、最初の占いはしやすい。
 占いをする度に思うのは、こちらが伝えられるものの大半は「相手がすでに知っている情報、わかっている解決策」である、ということだ。「なんとなくモヤモヤしている」というタイプの人ほどそうである(具体的な質問を抱えている人の場合はそうではない)。占いを元に「アレがこうでコレがそうですね」とある程度の情報を伝えると、あとは「たしかに言われてみればああでこうでそうで……」と、その人自身がどんどん答えを見つけていく。その状態になるとこちらは特に言うことがなくなるため、「何もしていない」ような気持ちにもなってしまう。が、そこで不安から言葉を重ねるのは厳禁だ。
 あまり長々は話せなかったけど、ポジティブな結びにできたのでよかったと思う。しかし時間が限られた中喋るのに必死になりすぎて、食事がほとんどできなかった。これだったらお茶だけにしておくべきだった。
 夜はたまりにたまった仕事をいくつか片付ける。ライターお茶会、告知を打ってすぐにたくさんの申し込みがあったので嬉しい。

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 おとといの木曜日は、午後に某文筆家さんのインタビューを一件。これは一般公開はされないものだが、なかなか面白くなりそうである。
 夕方には、若き優秀なライターの山本ぽてとさんに少し用事があって二人でお茶。互いにド修羅場中なのでややテンションは低め。
 途中、こんな会話になった。

小池「山本さんと私、最初に会ったのいつだっけ。2016年の夏に、シノドスのインタビューで○○さんたちと一緒に会ったのが最初かな」
山本「……私もそうだと思ってたんですけど、実はその前に会ってるんですよ。牧村さんと小池さんの、ニコ生の番組の記事を構成したのが最初です」
小池「えっ。それってめちゃめちゃ前じゃん」
山本「2013年ですね」

 牧村の番組に私がゲストで呼んでもらったのは、2013年の6月だ。当時私は26歳。『百合のリアル』の製作中だった頃である。まさかそんなときに山本さんとの初対面が発生していたなんて。正直まったく覚えていない。
 その時すれ違っていた山本さんと、その数年後にはなんとなくご縁ができて、今ではこうやってお茶をしたり、一緒にささやかなイベントをやったりしているのもなんだか不思議な展開。山本さんは私よりずっと年下だけど、すばらしいライターさんなのでこれからもどんどん活躍するだろう。私もがんばらないと。

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 その前の月〜水は、某小説案件との格闘ばかりをして過ごした。一人称と三人称のどちらがいいかで悩み、結局二種類作成してプリントアウトして見比べる、ということもした。その選択で1日つぶしたが、結局一人称で進めることにする。
 合間にNetflixで映画をみたり、本を読んだりした。読んでよかったのは木庭顕『誰のために法は生まれた』と、キノブックスさんからいただいて読んだ藤野千夜『少年と少女のポルカ』。
 また改めて書きたいが、『誰のために法は生まれた』は本当によかった。古典文学をベースに、「占有」の概念について解き明かして行く一冊。法とは、本来的には「徒党の力から、追い詰められていく個人を守るために」ある。そしてその法とともにあるはずの政治は、人々の権力を解体していき、「言葉だけで議論しあう場」をつくりあげるシステムなのだ(日本は今のところ、全然そんな感じではないけれど)。

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 私にしては珍しくふせんだらけにしてしまった(普段は面倒で、ページの端を折るだけで終わることが多い)。
 書かれていることのどれもがすごく納得できたし、木庭氏の古典への愛情を感じてなんだか泣けた。こことか。

鑑賞力とかおっしゃっていたけれども、古典の力が作用しているだけです。私の寄与分はゼロです。翻訳であってもなお、なにがしかを伝えてくる作品の力が圧倒的なんだね。こで君たちがいろいろ考えることができる。本物の古典の力はすごい。そこはやっぱり人間の歴史の土台を作ってきたものだからね。

 あまりによかったので、木庭氏の他の本も読みたくなり、『新版ローマ法案内』を図書館で取り寄せた。私に読める難易度なのかは不明……。
 『少年と少女のポルカ』は、96年に発表された作品。クローゼットなゲイの主人公と、彼のクラスメイトでMtFのヤマダ、主人公の幼馴染で電車に乗れなくなってしまったミカコの三人の日常が描かれる。20年以上前の作品だが、全然古臭くない。明らかに違うのはいくつかの流行り言葉と、スマホが出てこないということくらいだ。性や精神的健康の「逸脱」に対する人の反応が、この20年でそこまで大きく変わっていないということの証左だろうか。
 解説で山崎ナオコーラさんも書いているが、藤野千夜氏は文章がすばらしい。隙のない、でも読む人間を息苦しくさせない文章。いい刺激を受けた。本を送ってくださったキノブックスの編集者さんに心から感謝。

誰のために法は生まれた

誰のために法は生まれた

 
少年と少女のポルカ(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 ふ 1-1)

少年と少女のポルカ(キノブックス文庫) (キノブックス文庫 ふ 1-1)