考える引き出し

小池みきがなんでも書くところ・タンゴ練習記録多め

我欲求超睡眠修羅場

 いろいろな事情から「ゆっくり時間をかけたい難しい仕事」と「激烈超特急の仕事」と「時間場所拘束系の仕事」が正三面衝突を果たした結果、この1週間はかなり忙しいことになった。久しぶりに純粋な寝不足で頭が割れそうになったし、純粋な睡眠欲で視界がぐるぐる回った。タンゴのレッスンは一日休まざるを得ず、行きたかった食事会も諦めた。悲しい。それでも悲しくないことや印象深いこともあったので、それを1週間分書いていく。

 

9月2日(日)

 夜、ライターのやつもとまいさんと渋谷のチャオタイで会う。やつもとさんは、soarで以下の記事を書いたライターさんだ。記事の編集サポートをさせてもらったことで知り合った。

 これまではオンライン上のやりとりしかなく、今回が初対面。先日soarの新オフィスに行った際、LITALICOの編集長の鈴木悠平さんが「まいちゃんはホント、ヘルシーな子」と言っていたのが印象に残っていた。実際喋ってみて、たしかにヘルシーだと感じた。もちろんこれは「苦労知らずでのびのび育ったお嬢ちゃん」みたいな意味ではなくて、彼女にもいろいろ抱えているものはあるんだけど、それでも根本にあるエネルギーがまっすぐで気持ちいい、ということである。どんな小説が好きなの、と聞いたら「小川糸さんや原田マハさん」と返ってきて、「ヘルシーだね!!」と叫んでしまった。

 ガパオライスを食べつつ、やつもとさんが優しくいろいろ訊ねてくれるのにかまけて喋りまくる。三十路になると、20代の子から問答無用で「お話を聞きたいですムーブ」をされてしまうので気をつけないといけない。でも、ふたりで「『若草物語』のジョーみたいにプラムフィールドを作りたいよね」という話で盛り上がれて嬉しかった。

 明け方まで書く。

 

9月3日(月)

 日記のこの日のページには何も書いてない。一日中原稿で苦しんでいたと思う。ただ午前中にはたしか図書館に行って、西加奈子のエッセイ(読んだことがなかった)を読んだ。『ミッキーかしまし』と『ミッキーたくまし』。これ、フォントが合ってない気がする……組版の鬼の友人S氏が読んだらどう思うだろう。

 印象に残ったのが「自分のドッペルゲンガーに出会うために、頭の中で街を歩いて自分の家に入り、自分自身と会う」と書いていたこと。これ、2ちゃんねるのオカルト板でかつて、確実に幽霊を見られる技として伝えられていた儀式(?)に似ている。私は幽霊はあまり見ないが、これをやると本当に出会ってしまいそうという予感がある。怖いことやってるな、西加奈子氏。

 夜、仕事がらみの絶望的(スケジュール的な意味で)なメールをもらう。

 この日は4時まで原稿。

 

9月4日(火)

 6時台に起きて原稿、からの別仕事で夕方まで奮闘。美味しい麻婆豆腐を食べた。

 人気ブロガーでコラムニストのCさんと会う時間があったので、つかまえて「コラムって書くの難しくないですか。いつもどうやって書いてますか。どのくらい時間かかりますか。私無理すぎて床でもんどりうってるんですけど」と聞きまくる。Cさんが優しく「私も、難産なときはもんどりうってます」と言いながら微笑んでくれたので、私も「Cさんでももんどりうってると聞いて安心しました」と素直な感想を述べた。他人のもんどりで安心するようなレベルを早く脱したい。

 この日は5時まで原稿。

 

9月5日(水)

 9時起床。寝たのが5時台なので完全に寝不足。住んでいるマンション全戸で順々にリフォーム工事が行われているため、早朝からドリルの音などで叩き起こされるのだ。

 この日はコラム原稿でひたすら苦しむ。腕を組み、パソコンの前で構成を考えていると、おもしろいように時計の針がぐんぐん進む。長針が秒針のように、短針が長針のように素早く進んでいくのだ。

 書いても書いてもそれに納得できず、気づくとジャンク文章が1万数千字たまっていたりする。無駄な書き物をするまえにきちんと構成を立て、失敗しないように書いていけたらいいのだが、それがいまだになかなかうまくいかない。うまくいくものもあるのだが……。

 コラムの合間にひとつゲラ原稿をチェックして返送。これでなんとか連載はスタートするはず。

 3時すぎ、朦朧としながら文章を書いてるさなかに北海道地震が発生。私は道民の友人がわりと多いので、すぐにいろんな人のことが心配になった。が、その時点では何もできず。 西は台風、北は地震、本当に今年の日本はめちゃくちゃだ。

  この日は4時半就寝。

 

9月6日(木)

 6時起床。いい加減寝不足で頭が痛い。この日はうちの部屋にリフォーム業者が入る日だった。耳栓をし、工事をする人たちを背に仕事。

 14時くらいまで働いたところで頭痛が最高潮に達し、一度寝ることを断固決意。しかし業者がちっとも帰らない。工事の終わりをイライラしながら待つ私。最後に書類へのサインだの、ベランダに出ての確認だのをさせられている間、どんどん顔が般若面に近づいていくのがわかった。たぶん業者も困惑していたと思う。すまんな。人間は寝ないと阿修羅になるのだ。

 ようやく追い出せたので15時半に失神。眠すぎて、寝るとき吐き気がした。

 1時間半ほどして起床。また夜中の3時まで書く。夕飯はうちから徒歩5分のところにあるファミレスのとんかつ定食にした。ファミレスの定食はまずい(味噌汁が特にまずい)わりに高いのでふだんほとんど食べないのだが、こういうときは金など気にしていられない。

 夜中の1時にひとつ原稿を仕上げて送ることができた。

 4時半就寝。

 

9月7日(金)

 今日である。

 9時起床。ここ最近では一番寝られたので多少すっきり。……ということを考えていたら、『烈火の炎』の二十何巻だかにあった、風子の「五分か……いつもより寝られたね」というセリフを思い出した。 雷覇との修行の回だったと思う。五分の睡眠でなんとかなるのは風子が16歳(17だっけ?)だからである。31歳の私は五分ではもたず、50分でもダメで、5時間でも足りず、やっぱり8時間の睡眠が要る。

 日中はノンストップで原稿。書いても書いても終わらず久しぶりに頭が狂いそうになったが、なんとか20時ごろに大方の分を仕上げて納品。外に飛び出して近所の店でステーキ丼を食べ、河原まで歩いて行って、途中で買ったドーナツをかじる。みしらぬ爺さんが、「おーっ涼しいな!」と叫びながら歩いていた。たしかに涼しい。ずっと風にあたっているとむしろ寒い。

 昨日原稿を送った編集者さんから、嬉しい感想が届いた。私の書くものを真剣に、本当に面白いと思って読んでくれている編集者さんがいるのだなあ……と思うといつもすごく新鮮に嬉しい。

 コラムの仕事は、今まで全然やってこなかったから大変だ。でも頑張りたい。

 でももうこんな1週間はおくりたくないので、明日からまた心を入れ替えてスケジュール管理をします。