考える引き出し

小池みきがなんでも書くところ・タンゴ練習記録多め

「天才」

 22日締切のエッセイに苦戦している。なんとか3分の1くらいは書けたが、この先がまだ長い。この文字数にこれだけの日数をかけていていいのか。いやよくない。お金の問題ではないが、こういう書き方をしていると赤字である。今日は朝からずっと書き続け、夕方に一度だけ川原に休憩に行った。帰りに買った、ハーゲンダッツの期間限定アイスがとても美味しかった。

 全く関係はないが、ふと思い出したことを書く。

 18歳のときのことだ。当時私は浪人中……というよりも、「大学進学資金を貯める」という名目を掲げた単なるフリーターで、書店員だった。大型書店だったので店員数は多かったが、高校を出たばかり、という人間は私くらいだった気がする。

 店員の一人に、理系の大学院生がいた。メガネで真面目でおっとりしていて、接客態度のいい男の子だった。見た目の印象のまま、ゲームが好きなオタクだったので同じくオタクの私は嬉しく、知り合った初日にレジの中でたくさん話をした。

 レジ締めをした人間は、毎回ゴミを地下まで持っていくことになっている。それで二人でゴミ袋を下げて非常階段を降りていたら、蛍光灯の明かりの下で彼が急にこう言ったのである。

「小池さんは、天才って言われたら嫌だと感じる人ですか」

 質問の意味がわからなかったが、嫌だと感じるとは思わなかったので「いや、別に」と返した。すると彼はちょっと微笑んでまたこう言った。

「では、僕は小池さんのことを天才だと思うことにします」

 そのあと特に会話はなく、彼はただ黙って階段を降りていった。私は彼が一体どういうつもりでそんな事を言ったのかわからず、やはり黙ってついていくだけだった。

 それからも、それについて二人の間で話したことはない。レジが一緒になれば雑談をしたが、そのくらいだ(何かのセールスの人間が家に押し売りにきた際、彼はそのセールスマンを家にあげてお茶を出し、3時間話を聞いたあと、丁寧に電話をかけて断ったそうだ)。

 彼は私の何を天才だと思ったのだろう? あるいは、あの言葉はなにかの比喩だったのだろうか。

 天才ではない私はいま、たった4000字の原稿も仕上げられずに苦しんでいるんだけれども。

朝:蒸しパン
昼:ブロッコリーと鶏ささみのロースト 素パスタ 納豆
夜:ハーゲンダッツの「スイートポテトのタルト」(美味!!!!)