考える引き出し

小池みきがなんでも書くところ・タンゴ練習記録多め

初恋

かなり仕事をした。そして「SONGSスペシャル」の宇多田ヒカル特集を観る。又吉さんと喋っていた。いい組み合わせだと思う。又吉さんは宇多田ヒカルの言語センスが絶対好きだろう、という気がする。

宇多田ヒカルのことは小学生のときからずっと好きで、そのセンスを疑ったことは一度もない(私ごときが疑ったところで何の意味もないというのは置いておく)。彼女が自分の世界観で何を表しているのか、わかりにくいようで実はものすごくシンプルだ、というふうにも感じていた。だけど今回の「SONGSスペシャル」を見て、シンプルに見えていた球体みたいな世界の、更に一回り小さい芯あるいは種子みたいなものを、彼女があっさり取り出して言語化してきたことに驚いた。本当にいろいろ「抜けた」んだなという気がする。「私にとっての初恋相手は両親。その後の人間関係は全てその延長(意訳)」という言葉は、20代のときには絶対言わなかっただろう。もちろん、すべての音楽にそのことは表れていたけれど。

「初恋相手は親」。これは誰も逃げられない原則だ。親から引き離されて育った人間だろうと関係ない。「親の影響なんか何も受けていない」と言う人も同じ。親というのは乳を出す女のことでも無条件に守ってくれる誰かのことでもなく、生まれ落ちて最初に認識する「脅威」のことだ。脅威は脅威でありそれ以上でも以下でもない。それが人生の雛形となり、その後の人生をどこまでも執念深く縛っていく。そして、それがいろんな美しい人生の機微も生みだすのだ。そういうところが人間は哀しいし面白い。

「初恋」はものすごくいい曲だと思う。リピートしまくっている。